美大図書館

[:ja]ちょっと時間が空いたので、Short trip。 もともとは「カマキン」が最後の展覧会をしているので、それが目的だったのだが どうせ行くなら、そのまま西へ。ということでまずは東京周辺。 私の姪が武蔵美出身なのですが、在学中は一度も来ることができず・・・やっと訪れることができましたムサビ。 流石の美大はキャンパスが楽しげで、とてもイイ。もっと早くに来れば良かったと後悔するほど。 目的は、やっぱりフジモトさんの図書館です。 たどり着くまで気がつきませんでしたが、只今絶賛試験中なんです。 おかげで、図書館閉まってました・・・。 しかし、中に入れなくとも見るべきところは沢山あるから、と思い直してぐるっと一周。 周囲では何やら学生たちが、制作活動をいたるところでしていました。 なんか、そういう雰囲気もイイと思える要素ですね。 フジモトさんにとって初めての公共的な仕事だと思いますが、そういうフレッシュなエネルギーをとても感じました。 使い勝手としては、色々言い分はあるのでしょうが。 そして、天気が良かったのでそのまま八王子へ直行。 目指すは、多摩美図書館 by 伊東豊雄。 久しぶりの建築行脚で侮ってましたが、最近無茶な見学をする輩も多いらしく、学校側も敏感になっているみたい。 見学は試…

ウツクシサ

美について 「SI-house」は竣工して3年が経ち4年目になります。 竣工してからすぐに壊れてしまったところや修理したところが当然あります。 工業製品と違って、一品生産である建築は、具現化する前にテストをする余裕がありません。 ましてや挑戦的な建築は、それだけでリスクを内包しています。 同じモノを大量生産するならば、多くのバグを事前に取り去る必要もありますが それを完璧にできる建築は、余程の予算と工期が必要になります。 無名のアトリエ事務所が作る建築に、そんな余裕はあるはずもなく。 リスクを根性で振り払い、立ち向かいます。 どんなモノでも生まれたてはキレイに見えます。 どんなバックボーンを持っていても。 若者も輝いて見えますよね・・・。 しかし、年を重ねて劣化するのか、維持するのか、さらに輝くのか。 その後の環境に左右されるのは、人生に似ている気がします。 丁寧に使われた職人の道具が、美しい光を放つのと同じように 崇高な理論の元に愛された建築は、美しいオーラを放ちます。 ウツクシイとキレイの違いってわかりますか? 僕も全て言語化できるわけではないですが、建築のウツクシさとキレイさの違いはわかります。 新築のハウスメーカーの家はどれもキレイ。 60年前に建てられた、コルビュジェの「ラ…

その後・・・

「SI-house」に久しぶりの訪問。写真は懐かしの施工風景。 この建築とほぼ同時に生まれたお子さんが、大きくなって言葉もどんどん話せるようになり時の流れに気付かされる。 僕はこの家が好きだ。 多分、好きという感情を超えている気がする。 この建築の置かれている環境・・・愛されるべきクライアントご夫婦とお子さんに囲まれている・・・状態そのものが好きだ。 建築家は建築を作ることができるが、建築の置かれる環境までは、想定はしていても作ることはできない。 もちろん、愛されないようにモノを作ろうなんて思う人はいないから、少なくとも愛されてほしいと思いながらモノを作るだろう。 だからといって本当の意味で愛されるモノができるとは限らない。 僕は正直言って、この建築がこんなにもうまくできていることに自分自身驚いている。 本当に自分が設計したとは思えないほどに。 多分それは、僕の力だけでこんな幸せな状況になったわけではないからだろう。 それは、クライアントの人間力がそうさせているのだ。 建築は、他の殆どのモノたちよりも格別に寿命が長い。 だから、いろいろな批評の的にさらされてしまう。 「新国立」は生まれる前に消し去られてしまったが、生まれればそれなりの建築に育っただろうに・・・。 瞬間を切り取る写真と…

PAULO MENDES DA ROCHA

久しぶりの更新です。 見ている人は、あまりいないかもしれませんがひっそりやっていきます。 この歳になると、だんだん建築雑誌を細かく見ることもしなくなってきました。 それは、見方が変わるというか感受性が変化するというか、情熱がなくなったわけでは無いのですが 建築を創る上での経験からの既視感と言いますか・・・。ほとんどの建築はそれがよっぽどの作品で無い限り ワクワク感とか得体の知れない高揚感は、やはり少なくなっていきます。 一般的には感受性が鈍ったとか、飽きたとかいう表現になるのかもしれません。 しかし、知れば知るほど深みにハマって、わけがわからなくなった時 突然、鮮烈な光がさし込むような建築に、心揺さぶられる事もあります。 そして、それは、何の事はない入口付近で知識を貪欲に欲していた時に通りすぎてしまったものだったりします。 そんな建築に出会ってしまいました。 見ればそれは、プリツカー賞受賞者のパウロ・メンデス・ダ・ローシャの作品でした。 勉強不足を恥じましたが、この住宅作品自体は、建築界でもそんなに知られていなかったようです。 70年に設計されて、74年に竣工していますが、トンデモなく魅力的です。 74年というと安藤さんの「住吉の長屋」と同じ頃です。 これが実現した唯一の住宅だそうで…

WEB

建築紹介のwebサイトに『SI-house』がエントリーされましたのでお知らせします。 一般的なサイトでは、写真を勝手に使っていたり、適当な記事で情報元もよく分からないものだったりしますが このサイトは事前にメールで問い合わせがあり、きちんと趣旨の説明とその後の報告もあり、丁寧な対応でした。 記事は専属のエディターが編集しているようで、様々な言語で翻訳しているそうです。サイトのサービスは他とあまり違いは見られないかもしれませんが、中身はかなり違います。 そういった違いはわずかであるように見えて、大きな違いであり、今後残っていくサイトはそういう方向になっていくと思います。 日本語紹介ページ→https://www.homify.jp/ideabooks/20748/5 追記→https://www.homify.jp/ideabooks/20709/si-house 外国語版→https://www.homify.co.uk/ideabooks/12803/minimalism-with-a-japanese-edge…

PC

私も実施設計に参加したno.555が設計した案件で工事中の現場を見学させてもらいました。 躯体はPC構造でちょうど建方をしています。 タイトルの”PC”はパソコンのことではありません。 「プレキャストコンクリート」のPCです。 PC構造というのは、それぞれのパーツに分かれた躯体を模型のように組み立てていきます。 写真の壁は約7トンほどあるそうです。 現場打ちと違って、工場で製作するので精度がとても高くなり工期も短いのが一般的です。 大きな現場でしたが、とても整理がされていて美しい現場でした。…

LONDON-6

今回の目的でもあるTate ModernとMillennium Bridge。 この橋は開通3日後に横揺れが激しくて閉鎖になって、改修したもの。 アラップの構造設計がかなりキワドかったのでしょう。 意匠はノーマン・フォスター。 きれいな橋です。 Tateは引きで見ても迫力あります。 Herzog & de Meuronの初期の集大成的な作品だと思います。 近年は、作風が若干変化しましたが、この頃の方が僕は好きです。 振り返るとこんな感じ。 セントポール大聖堂に軸線が突き刺さります。…

LONDON-4

まずは大英博物館。 ここは、建築も展示も両方楽しめます。 ツアーらしき人もたくさんいて、混んでいました。 こういう建築がきちんと機能しているというのは、良いです。 しかも、近代の技術もいろいろ利用して。 彫刻や装飾がある建築を現代建築でやったら、それはそれで新たな道かもしれないが 装飾が悪者にされて以来、そんな建築はあまり見たことがない。 むしろ、それ自体が彫刻と化している建築がゲーリーのような建築に繋がっている気がする。 ザハしかり、それは個人的な感覚でしか建築がつくられないとすれば、様式こそが新鮮でもある。 そして、それが共存することでより対比が強調されていく。 建築は周囲との関係において、その差位をデザインしている。 つまり他者が存在しなければそのデザインの意味も捉えづらいものになる。 建築にはいろいろな他者が存在し、それは具体的な存在でない場合も多い。 目の前の建築がどんな他者と戦っているのか、それを考えながら建築を考えてみるのも面白い。 美しいグレートコート。…

LONDON-3

ロンドンの街。 歴史のある建築と新しい建築のあり方。 ガラスの使い方が、日本とは違う。法律や規制が異なることも関係しているが やはり、その構想というか根っこの部分が違うと感じる。 ハイテック建築の故郷ですが、それでなくとも構造の表現が美しい。 駅のガラスを支える支柱のような日常的な建築にさえ、その思想が宿っているように感じてしまう。 日本はカオスだなぁ。 写真の右側は、恐らく商業建築。 ブロンズガラスにシルクスクリーンらしき、グラデーション。 大人っぽい建築です。…

LONDON-1

久しく更新が滞っております。 手が空いてきたので、ロンドンの旅日記でもつらつらと。 写真はホテルの最寄りのアールズコート駅。 ハリー・ポッターが出てきそう・・・。 全ての建築に新しい部分と古い部分が入り交じっていて、古いものがそのまま残っている建築は割と少ない。 日本の感覚だと新しいものは、全てが新しく、古いものはそのままの状態で残そうとする。 それは、あまり自然な状態ではなくて、使いながら残していくことが結果的に古いものを残すことになると思う。 その違いが、街の雰囲気の違いに繋がる。 ロンドンではそもそも新築もままならないけれども。…