UT基礎

”UT-house”の基礎工事が少しずつ進んできました。 今回は、基礎工事が難関なので、日々の天気を睨みながら、気を抜けない状態が続いております。 住宅に限らず建築工事は、特にコンクリート工事は、デジタル化が進んでいる現代でも、精度においては人の手による誤差が避けられません。全てを公差±0で施工する事は不可能なので様々な逃げの納まりを考えながら、最終的な仕上がりレベルを狙って施工していかなければなりません。CADで図面化していると直線は当たり前に書けますが、現場で実現するには精度を求める程に難易度が上がります。 CGと現実世界の決定的な違いは、その微妙な揺らぎの有無だと思います。CGで見る建築は、現実の建築よりもとても硬く見えます。 一部の隙もなく完璧に収まっているので当然と言えば当然です。 でも、世界の巨匠の名建築は、現代の建築とは全く違う環境の中で作られて、壁だって曲がってたりしてますが、なんとも言えない魅力があります。精度を高める努力を怠ることは決して良いことでは無いけれど、それと建築の本質とはまた違う気もします。 究極の精度で作りたいけれど、魅力的な揺らぎも生み出したい。 その絶妙なバランスが重要だと思うし、それをコントロールするのは至難の業。 意図的にそれが出来…

現場雑感

コロナ禍の中で、幸いにも仕事があって活動が継続できることは、本当に幸せだと思います。 活動したくても出来ない人、特にパフォーマンスを披露するような活動は、なかなか苦しい状況だと思います。 建設現場も多少の3ミツが予想されますが、僕の現場は、そもそも人数が少ないので、危険性も少ないです。 でも、着工できると思っていた現場が無くなったり設計契約できた案件が無くなったりすることは、今の環境では日常的存在していて。 そのこと自体は、本当に大変なことでダメージを受けている人もたくさんいると思います。 その一方で、環境の変化によって新たな仕事が生まれる可能性もあるし、変化することには、いつも前向きでいたいと常に思います。 最近思うのは、あのまま進まなくてよかったと、今なら思える仕事もいっぱいあって。 むしろこれってチャンスかねって思うこともしばしば。 今の現場も決して、順風満帆とは言い難い状況が続いています。 でも、もうそんなことは気にならないぐらい、凄いパワーを持っている人達と仕事が出来ています。 一人で悶々とした日々がバカらしいくらいに。 ありがたいことです・・・。…

SI訪問

コロナ禍は収束方向ではありますが、まだまだ油断はできない状況の中、「SI-house」の見学とご相談に伺ってきました。外出自粛で家にこもることが多くなってしまった昨今。住宅のあり方は、急激な改革を強制的にしなければならない状況になってきました。家の中で、仕事をする環境も増えてくると、当然住宅に対する捉え方も変わるでしょう。そして、社会が変革すれば、住宅も変わって行くと思います。それは建築全体にも言えると思います。どう変わっていくのかは、まだ分かりません。でも以前と同じ状況に戻ることは、多分難しいと思います。。環境も関係も、常に変化している。変わるもの、変わらないもの、信じること、信じられないこと。その選択の積み重ね。正しさに固執していれば、恐らく生き抜いていくことは難しいと思います。絶対的なものよりも、相対的。価値観でさえも流動的になっていくかもしれない。この住宅のオーナーご家族の暮らしぶりは、僕に色々な事を教えてくれる。 中庭のシマトネリコがとっても立派になっていました。オーナーの愛情があふれていて、緑がキレイ。樹形もイイ。水庭についても、いい話が聞けました。企業秘密に取っておこう・・・。 生活感のない空間は美しいかもしれないが、生活感の美しさを考えた方が自然だし生活している事を否…

“M2-house”

年末にお引渡しをしましたM2-houseの残工事がほぼ終わり落ち着きはじめました。季節の関係で植栽がまだなので、完成形はきっとこれから変わっていくと思いますが、だんだんと住宅として機能している様子を感じたり、素敵なシーンのお話を聞けると、色々と苦労したことも吹き飛ぶくらいに嬉しい気持ちになります。これからも、クライアントご家族には長い目でこの家を愛してもらえればいいなぁ。…

謹賀新年2020

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。年越しの準備もそこそこに、迎えました新年です。今年の恵方詣りは穂高神社。昨年は今までの構想をカタチにする事に没頭できた一年だったと思います。また、いろんな人に出会えた年でもありました。新たなプロジェクトが動きつつある中で、今年はカタチになったものが評価される年になるといいなぁ。Olympic year でもあり、僕の年齢もキリのいい数字になるので、より大きい流れを作りたい・・・2020!…

M2現場-その2

工事もいよいよ賑やかになってきました。様々な問題を何事も無かったかのごとく装いながら、少しずつ進んでいます。一つの工程で劇的に空間が変化するときもあれば、一目では分からないけれど重要な作業をこなしながら、形になっていきます。料理でも一手間かければ、見違えるように、建築の施工においてもそれは一緒。ヒト手間の積み重ねによって、行き着くところは全く違うモノになってしまうのは、どんな世界にも言えると思います。こちらとしては、全てにおいて手間をかけて貰いたいけれど、そもそも職人としては手間がかからない方が良いに決まっている。だからこそ、手間の価値があることが表れるように考えないといけない。どこに重点があるかを判断するのも、やはり現場監督をはじめとする施工する人達とのやり取りの中で決断していかなければならない。やるべき事なのか、そうじゃないのか、自問自答する日々です。…

M2現場

鉄骨の建方がほぼ終わり、空間のボリュームが現れてきました。フレームの状態というのは、建築の振る舞いに関わらず、まさに素の状態に近いので、とてもダイナミックで魅力的だと思います。ここから通常はどんどん閉鎖的になっていき、ダイナミックさと引換えに建築としての機能を満たすべく、空間が変化していきます。建築は基本的に機能が必要ではありますが、機能を無視した建築は、建築ではないかというと、そうでもないと僕は思う。ただ、意図的にそういうものを作るのは、社会的な背景とか、環境の問題とかで、非常に難しいとは思います。ムダという指摘は容易で安直だから・・・。空間は英語でspace、つまり宇宙。かつて宇宙にはエーテルと呼ばれる物質で満たされていると信じられていた。今はもちろん否定されているが、エーテルではない何かが満たされている美しい空間はきっと存在する。そんな空間を僕は作りたい。…

M2建方

昨今のハイテンションボルト不足の事態の最中に、建方が出来ちゃう幸せな現場です。もう去年の初めくらいからボルト問題はずっとくすぶり続けて、今もまだ続いているようです。今年に入って、何とかボルトだけは確保してもらうことが出来ました。RC造からの計画変更という経緯もあって、ボルトの為に設計変更は許されない状況のなか、本当に感謝します。ボルト不足が一向に解消されない原因は、何故なのかを施工会社や鉄骨業者に聞いてみても納得する回答を得られないのですが、施工会社が計画している案件については、工期を約束しないことで対応しているそうです。この現場に関しては、無事に建方に辿り着いたので一安心ですが、今後の計画には影響を受ける可能性があるので、他人事ではありません。 ただ、今は長い間の構想が現実化して行く中、リアルな物質との格闘を楽しみながら建築に携わっている幸せを噛み締めております。伊勢に行ってから、起こること全てに幸せを感じてしまう・・・。 良い事も悪い事も全てに意味があるのだ。そして、あの時の悔しい気持ちは、この時の為にあったんだと。…

お伊勢参り

週末に行って来ました。初めての伊勢神宮です。出雲と伊勢は行っとかないとと勝手に思っておりましたので、ようやくです。今年は令和元年でもあり、機会としてはよろしいかと。天気はあまり良くなくて、小雨が降っていましたがそれはそれで、何かしら意味があることだと思えました。とてもよかったので、二日目も外宮と内宮の御正宮だけですが、お参りしました。たまたま奉納されていた能楽も見れたし。ちなみに神宮に御参りすること自体が大吉なので、おみくじは無いそうです。帰ってからいろんな資料あさってたら(行く前にしとけ)、自分にとっての伊勢は平面図の印象が強くて思ってた印象と大分違っていたということを再発見。一般的には、あの全貌を体感する事がほとんど出来ない。それくらい神聖なものなんだけれど。体感するには、宮大工になるしかないな。…

M2鉄骨製品検査

うーん、やっとここまで来ましたか。長いようで短いような。鉄骨の工場検査でございます。建物の安全を考える人、お金の心配する人、意匠を気にする人、納期を気にする人、色々な役割の人がいて。時にそれは同じ人間に共存していて脳内会議を常に続ける。そこで下される判断は、様々な想いを感じながらされていて。責任を感じる瞬間でもある。 H鋼のサビ止め塗る前の佇まいってなんでこんなに魅力的なんだろう・・・鉄フェチ?…

M2配筋検査

構造家と一緒に基礎の配筋検査です。今回はフーチング配筋ですが、さして問題もなく。ただ建物の荷重は全てこのフーチングの皆さんが受け止めるので、決して疎かには出来ないのでございます。今回は優秀な現場監督のお陰で順調に工事が進んでおります。ちなみにフーチングというのは和製英語だそうで、英語のfootingは足の裏という意味があります。建築の足ですね。最近の住宅はベタ基礎が多いですが、ベタ基礎にはフーチングは基本的にないので、ここでは独立基礎という形式になります。基礎形式で耐震性の優劣がないのは言うまでもないですが、ベタ基礎だから地震に強いとか布基礎や独立基礎はダメとか言う人が、ネットの世界ではいるようです。設計というのは、そんなに単純ではなくて耐震性で言うならば、設計基準というものがあってそれに対して工学的な判断をしているのであって、この手法が○か×かみたいなことでは決してない。何よりコストや性能さらには地域の環境等、決定を左右するパラメーターが沢山ある中での判断をしなければならない。そのような設計者がいない現場は知らないけれど。お向かいの土地にも某ハウスメーカーの住宅の工事が始まっております。工期の速さでは、多分あっという間に抜かれてしまうことが予想されます。なんか、ウサギと亀みたいな様…

showroom

M2-houseはタイル空間という事もあって、素材選びを慎重にしないとクライアントと認識を共有できないので、設備機器の選定の確認を含めて、東京の青山周辺へクライアントと出向きました。偶然、使ったことのないメーカーのカタログが直前に届いてショールームが近い場所だったので、予備で予定を組みましたが、これがなかなかのヒット。私もクライアントも納得のいく素材を見つけることができました。事前に準備したモノよりも、スッとスキマに入り込むようにやってきた素材がしっくりしてしまうというのは、モノ作りのなかにいるとよくあるのですが、恐らくそれは常にデザインが現在進行形で動いているという意識の表れだと感じます。どんなプロジェクトも機を熟していくタイミングがあり、それは世の中の動きと密接です。例えば、あったらいいなと思っていた新しい商品が出るタイミングに出会えたとか。あとはこのプロジェクトをきっかけに商品を開発するとか、無くなることもある。そんなモノは予定調和では絶対に生まれないわけで、いろいろモガイタ結果の偶然。偶然を必然に引寄せることが出来れば、きっとそれが巨匠・・・。少しでも建築としての価値を上げる努力は、これからもしていきたい。…