前回からの続き。質についての思考です。 美術館のようなビルディングタイプであれば、建築自体もアート的な要素を 多分に求められると思われますが、住宅の場合はどうでしょう。 建築のデザインは機能と切り離されて存在するものは、あまりないと思いますが 機能だけで優劣を判断していくと、建築には成り得ない場合が多々あります。 例えば、安藤忠雄さんの「住吉の長屋」は最終的に日本建築学会賞という 日本のアカデミックな建築界の最高峰の賞を受賞しています。 しかし、雑誌で発表された当初は、様々な批判にさらされました。 その一番の意見は、トイレやお風呂にいく度に一度、外へ出なければならない というプラン上の制限についてだったと思います。 その後、その建築の評価が確立された後に、同じようなプランの コンクリート住宅がたくさん作られました。 しかし、どの住宅も一度外へ出るというプランはほとんど無く ガラスで仕切られていたり、中庭自体に屋根を掛けたりしています。 僕の知るかぎり、住吉を超える質に到達しているのはあまり無いように思います。 中庭があることや、外に出なければならないプランや 打ち放しで構成されていることや、その他の様々な要素を 単にトレースしただけでは、建築として高い質には到達できないということだと…