Category Archives: SI-house

砕石

先週末に、久しぶりに飯田へ。 クライアントご家族にお会いして来ました。 今回の目的は、外構の砕石入れ替えのお手伝い。 砕石もきちんとしようとするとそれなりに費用もかさみます。 せめて、人工(にんく)だけでも協力できることはしたいです。 3人でやったら、1時間ほどで終わりました。 芝もだいぶ根付いてきましたし、中庭の樹木も古い葉を落としてもらって 元気に新芽を出していました。 いろいろなお話も聞けて、とても楽しいひとときでした。 すっかり長居してしまいました。 この場を借りて、クライアント様に御礼申し上げます。 とっても良い感じになりました。…

質_その2

前回からの続き。質についての思考です。 美術館のようなビルディングタイプであれば、建築自体もアート的な要素を 多分に求められると思われますが、住宅の場合はどうでしょう。 建築のデザインは機能と切り離されて存在するものは、あまりないと思いますが 機能だけで優劣を判断していくと、建築には成り得ない場合が多々あります。 例えば、安藤忠雄さんの「住吉の長屋」は最終的に日本建築学会賞という 日本のアカデミックな建築界の最高峰の賞を受賞しています。 しかし、雑誌で発表された当初は、様々な批判にさらされました。 その一番の意見は、トイレやお風呂にいく度に一度、外へ出なければならない というプラン上の制限についてだったと思います。 その後、その建築の評価が確立された後に、同じようなプランの コンクリート住宅がたくさん作られました。 しかし、どの住宅も一度外へ出るというプランはほとんど無く ガラスで仕切られていたり、中庭自体に屋根を掛けたりしています。 僕の知るかぎり、住吉を超える質に到達しているのはあまり無いように思います。 中庭があることや、外に出なければならないプランや 打ち放しで構成されていることや、その他の様々な要素を 単にトレースしただけでは、建築として高い質には到達できないということだと…

質_その1

日本には建築士と呼ばれる有資格者が、一級でも35万人くらいいるらしいのですが その中で美術館の設計を一生の中で、経験できる人は何人いるのでしょう。 恐らくほんの一握りの人であろうと思います。 もちろん僕のキャリアにも存在しません。 しかし、どんな建築、例えば、小さな住宅であったとしても、その空間の質を美術館やそれに匹敵するレベルに、常に 近づけたいと思いながら設計をしています。最近完成した『軽井沢千住博美術館』は、僕にとって、とてもインパクト のある建築です。そして、空間の質として、一つの到達点を見せてくれました。同時に、それに対する批判の意見を耳にしました。 それは、「絵に対する紫外線の劣化に対しての設計的な配慮がない」というもの。 美術館は絵を収蔵、展示する場所なのだから、そこに直射日光を入れる設計は言語道断であると。 その批判は最もらしいものですが、僕にはとても違和感がありました。 そして、その批判を裏付けるように、最近になって絵の周辺に遮光用のカーテンが設置されたようです。 (ただし、聞いた話ですので、僕が確認したことではありません。) この意見を述べた人は、恐らく「自分が言った通りのことが起こっている。だから自分の意見は正しい。」 と思っているかもしれません。 しかし、それ…

SI-house外構工事

久しぶりのブログ更新です。SI-houseの外構工事が終了しました。 やっぱり外構は大切です。 建築を作るだけで精一杯なことが多々ありますが 周囲をきちんと整えることで、建築の納まりが落ち着きます。 自分の仕事を客観視することは、建築家にとって大事なことですが 純粋な客観性が果たして可能なんでしょうか。 自分の思い入れをゼロにして自作を見ることは、僕にはとても難しい。 でも、あらためて見る『SI-house』は、少し冷めてしまった僕の心を ちょっとだけ揺さぶってくれました。 僕が必死に目指したものが、なんだったのか。 分からなくなってしまいそうな気持ちを少しだけ引っ張ってくれたような。…

SI-house_引渡し

「SI-house」の引渡しが終了いたしました。 ただ、完全に工事が終わっていない部分もありまして なかなかスパっと終わらないのが常なんですが。 建築自体もまだ、”慣らし運転”の状態なので 使用するにあたって、慣れて頂く期間が必要です。 特にこの建物には、見えない所で設備的な工夫を施していますので 季節によってコントロールが必要です。 引越しも終えて、徐々に生活に馴染んでいくと思いますが ご家族のとっても楽しそうな笑顔が印象的でした。 ここで切り取られている画像は、建築の一瞬でしかありません。 しかし建築や空間は、音や温度、匂い、様々な五感に訴えかけるものです。 Web上で画像を簡単に見ることができる時代になっても 建築は体感して初めて理解の出来るものだと思います。 そして、その土地に定着し、その場の環境と共に影響を受けながら また与えながら、時間を重ねてゆくものです。 このエントリーの写真は内覧会の時に撮影された写真と同じアングルで撮りました。 時間も異なりますが、光の具合も全く異なります。 日々の時間の中で、建築は光と共に変化します。 その変化をいつも自然に感じられる建築をつくりたい。 人間にとっての自然は、人間自身でもあるのだから。…

もうすぐ・・・。

オープンハウスは無事に終了致しました。 関係各所の皆様とご来場の方々に御礼申し上げます。 天候に恵まれずに、引渡しが延びてしまいましたが やるべきことを粛々とこなしていく現場の皆様の熱意に 大変感謝しています。 毎度の事なんですが、僕の大事な子供(作品)がまた旅立ちます。 建築も人間もどういう生まれ方をしたとしても 愛されなければ幸せにはなれない気がします。 せめて、生みの親は無条件の愛情で愛していきたいと思う今日この頃。 僕の愛すべき「SI-house」は、愛してもらえるかな・・・。…

SI-house内覧会

只今、SI-houseの内覧会中です。なんと、会場でブログの更新! 午前中は天気も良くて、気持ちの良い空間が より引き立つのを体感出来ました。 自分の作った建築を自分で体感することは、とても大事なことですが 現実にはに引き渡してしまえば、純粋に体感することはなかなか出来ません。 だからオープンハウスは、そういう自分自身の評価の場でもあります。 いい空間は時間を経てもその輝きを失いません。 それは、過去の巨匠の作品を体感すればわかります。 そして、空間もナマモノ。 使い方によってイキイキもするし死んだりもします。 たまに過去の自作に訪問して、暮らしぶりが美しかったりすると 本当に感動します。 そういうモノサシの上で、自分の作品がどのあたりなのか。 そして、近付いているのか、追い抜いたのか、いやいやまだでしょ。 そんなことを考えながら・・・。…

OPEN HOUSE_SI(内覧会)

クライアント様のご好意により、3月10日(土)〜11日(日)にオープンハウスを行います。 開催場所は長野県飯田市になります。 要予約となりますので、ご興味のある方は当事務所までメールにて事前にご連絡下さい。 竣工後の内覧会となりますので、小さいお子様やペットのご入場はご遠慮させて頂きます。 当事務所のメール→mail@tndesign.net よろしくお願い致します。…

雑感・・・

最近は、現場監理が少なくなったので事務所で計画の時間が増えました。 それは、現場の瞬発力と違って、考えを構築するという別な脳力を使う気がします。 そこで思うのは、住宅の設計ほど複雑で難しい物はないなぁと感じます。 住宅の規模は日本の場合は、あまり大きなものは少ない。 予算の事も関係しますが、小さいものはたくさんあります。 しかし、そこで要求される機能はあまり変化はなく、お風呂やトイレがない家はほとんどない。 そして、キッチンからはじまって、オーディオやらテレビやら洗濯機など。 どうやって使ってどう動くか・・・。 それなら、ここに家具が必要で・・・。 家具にはこういう種類があって、こういうデザインにしましょう。 などなど、設計しようと思えば、やることは盛りだくさん。 これだけ、多種多様な設計があるのは、住宅ぐらいなんじゃないかと思うくらい。 だからこそ、それぞれに専門家もたくさんいます。 家具をつくる人、ソファをつくる人、キッチンをつくる人。 収納デザイナーとか、インテリアデザイナーとか。 例えば、大工さんは木造だったら構造や内装のほとんどを作るけれど クロスを貼れるわけではない。 家具が上手な大工さんもいれば、そんなことに興味のない大工さんもいる。 誰にどんな仕事をお願いするかによっ…

経験

SI-houseは色々なことが具現化していくにつれて本当にいろいろなことが起こります。 それは、どんなに精緻な図面を書こうが起こり得ることです。 問題は起こったことにどう対応するか。 中には、それがキッカケになってブレイクスルーが起こることもあります。 最近は現場が重なっていたので、他の現場での経験をフィードバックする(出来る) 場面が増えました。 しかし、その逆もあって、お気に入りの部材が突然廃番になったり。 現場は生き物だと感じる瞬間でもありますが、その時代時代で使われるものも 違うのだからそういう時代の流れを受けない訳にはいかない。 自分のつくる建築は、時代が変わっても価値を持てるものにしたいと思いますが。 出来ているかどうかは別として・・・。 さて、今回の現場でひとつ勉強になったのは・・・ 「椅子張り技能士」なるものがあることを知りました。 1級と2級があるそうです。建築士みたいです。 どう違うかはよくわかりませんが、とにかく大臣認定の資格があることに驚きました。 家具も奥深い世界です。[:en] SI-houseは色々なことが具現化していくにつれて本当にいろいろなことが起こります。 それは、どんなに精緻な図面を書こうが起こり得ることです。 問題は起こったことにどう対応するか…

SI-house進捗・・・

ようやくガラスが入りました。 部屋の壁のほとんどがガラスだったりするので ガラっと表情を変えました。 ガラスという発明はすごいと感じる瞬間です。 今回はサッシ工事が非常に難航してしまったので サッシが入らない状態での内装工事というさらに難易度が上がっていますが なんとか乗り切れそうです。 ガラスは寒いとか暑いとか温熱環境においては悪者扱いですが ここでは空間の素材としてきっちり仕事していました。 無くてはならない要素として。 温熱環境については当然対策していますが、通常の方法に少し工夫を加えました。 そいつがどれだけ効いてくれるか・・・。 残り3週間ほどです。 ラストの追い込みで、一気に昇華しまっせ。 オープンハウスの予定は3月の第一週です。 ご興味ある方は、当事務所へご連絡下さい。[:en]ようやくガラスが入りました。 部屋の壁のほとんどがガラスだったりするので ガラっと表情を変えました。 ガラスという発明はすごいと感じる瞬間です。 今回はサッシ工事が非常に難航してしまったので サッシが入らない状態での内装工事というさらに難易度が上がっていますが なんとか乗り切れそうです。 ガラスは寒いとか暑いとか温熱環境においては悪者扱いですが ここでは空間の素材としてきっちり仕事していました。…

SI施工中

SI-houseが施工中です。 予定よりも遅れてしまっておりますが クライアントにもご理解を頂きながら、少しずつ完成に近づいております。 しかし、ただ遅れているという訳ではなく 私を含め、現場監督や職人さんとより良いモノを作りたいという ところで戦っております。 ビジネス的には早く片付ければ、利益を上げるためには必要なことだと思います。 でも、建築は一品生産であり、クライアントの唯一無二の財産になるものです。 商品的な価値というよりも、建築的な価値を与えたい。 時間が許すならば、最大限の思考の中で最良のモノを作りたい。 実際に当初の設計よりも数段良くなった部分がいくつもあります。 もちろん、現場監督と職人のみなさんの協力なしには得られないものです。 建築的な価値がどういうものかはなかなか言葉で説明するのは難しい。 それでも、こういう場合ならばこうするべき・・・というものは 作家である以上は譲れない部分がある。 それが、住宅としての機能に直接関係する、しないに関わらず・・・ある。 ある意味その行為が作家として認められているか いないかで評価は違うのかもしれません。 以前は、そういった価値はどんな人でも見ればわかると思っていろんな人に問いかけてみたけれど・・・。 最近は、”建築的な価値”…