Category Archives: 建築デザイン思考

ボツ案

設計の仕事は、なにもないところから未来の建築を想像して形にしていく事ですが その裏には形にならない数多くのボツ案があります。 それは、設計者の頭の中で消去されるものもありますし、設計も図面も完成している けれど(様々な理由で)建たなくなることもあります。 その逆に、建築家の画をみて、建てたいということもあり得ます。 多くの仕事は依頼されてから、構想がスタートしますが、構想にあわせて土地を用意して実現することもあります。 上の写真はすでにボツになってしまった案です。 この敷地には、別の建物が立つ予定ですが、この案とは全く違うものになるでしょう。 僕が設計するかも定かではありません。しかし、僕が構想したこの建築は確かにここにあります。 幻のように儚い夢でありますが・・・。 The work of architectural design, it is to go to the form to imagine the architecture of the future out of nothing, but there are a number of dead issue plan that does not in shape to the back. It has also some …

雑感・・・

最近は、現場監理が少なくなったので事務所で計画の時間が増えました。 それは、現場の瞬発力と違って、考えを構築するという別な脳力を使う気がします。 そこで思うのは、住宅の設計ほど複雑で難しい物はないなぁと感じます。 住宅の規模は日本の場合は、あまり大きなものは少ない。 予算の事も関係しますが、小さいものはたくさんあります。 しかし、そこで要求される機能はあまり変化はなく、お風呂やトイレがない家はほとんどない。 そして、キッチンからはじまって、オーディオやらテレビやら洗濯機など。 どうやって使ってどう動くか・・・。 それなら、ここに家具が必要で・・・。 家具にはこういう種類があって、こういうデザインにしましょう。 などなど、設計しようと思えば、やることは盛りだくさん。 これだけ、多種多様な設計があるのは、住宅ぐらいなんじゃないかと思うくらい。 だからこそ、それぞれに専門家もたくさんいます。 家具をつくる人、ソファをつくる人、キッチンをつくる人。 収納デザイナーとか、インテリアデザイナーとか。 例えば、大工さんは木造だったら構造や内装のほとんどを作るけれど クロスを貼れるわけではない。 家具が上手な大工さんもいれば、そんなことに興味のない大工さんもいる。 誰にどんな仕事をお願いするかによっ…

経験

SI-houseは色々なことが具現化していくにつれて本当にいろいろなことが起こります。 それは、どんなに精緻な図面を書こうが起こり得ることです。 問題は起こったことにどう対応するか。 中には、それがキッカケになってブレイクスルーが起こることもあります。 最近は現場が重なっていたので、他の現場での経験をフィードバックする(出来る) 場面が増えました。 しかし、その逆もあって、お気に入りの部材が突然廃番になったり。 現場は生き物だと感じる瞬間でもありますが、その時代時代で使われるものも 違うのだからそういう時代の流れを受けない訳にはいかない。 自分のつくる建築は、時代が変わっても価値を持てるものにしたいと思いますが。 出来ているかどうかは別として・・・。 さて、今回の現場でひとつ勉強になったのは・・・ 「椅子張り技能士」なるものがあることを知りました。 1級と2級があるそうです。建築士みたいです。 どう違うかはよくわかりませんが、とにかく大臣認定の資格があることに驚きました。 家具も奥深い世界です。[:en] SI-houseは色々なことが具現化していくにつれて本当にいろいろなことが起こります。 それは、どんなに精緻な図面を書こうが起こり得ることです。 問題は起こったことにどう対応するか…

SI-house進捗・・・

ようやくガラスが入りました。 部屋の壁のほとんどがガラスだったりするので ガラっと表情を変えました。 ガラスという発明はすごいと感じる瞬間です。 今回はサッシ工事が非常に難航してしまったので サッシが入らない状態での内装工事というさらに難易度が上がっていますが なんとか乗り切れそうです。 ガラスは寒いとか暑いとか温熱環境においては悪者扱いですが ここでは空間の素材としてきっちり仕事していました。 無くてはならない要素として。 温熱環境については当然対策していますが、通常の方法に少し工夫を加えました。 そいつがどれだけ効いてくれるか・・・。 残り3週間ほどです。 ラストの追い込みで、一気に昇華しまっせ。 オープンハウスの予定は3月の第一週です。 ご興味ある方は、当事務所へご連絡下さい。[:en]ようやくガラスが入りました。 部屋の壁のほとんどがガラスだったりするので ガラっと表情を変えました。 ガラスという発明はすごいと感じる瞬間です。 今回はサッシ工事が非常に難航してしまったので サッシが入らない状態での内装工事というさらに難易度が上がっていますが なんとか乗り切れそうです。 ガラスは寒いとか暑いとか温熱環境においては悪者扱いですが ここでは空間の素材としてきっちり仕事していました。…

TNデザイン一級建築設計事務所

しごと

  Photo:Scouts Night by baseballoogie 札幌ドームのダルビッシュ選手の会見を(ほんのさわりだけ)見ました。 札幌ドームはドーム建築では世界一だと思うくらい完成度が高いと思っている僕ですが、 札幌生まれでもありますのでこのソースに本能的に反応してしまうのは致し方ない。 そこで語られていた「しごと」という言葉。 25歳の若者が真摯に自らの仕事に対して語る姿は、とても刺激的だった。 そう、誰しも自らのしごとに向き合うことで成長があると思う。 野球選手は、そしてピッチャーは、相手チームのバッターを倒すのが「しごと」。 そう語る若者にとても清々しさと勇気を感じました。 僕もぬるま湯から抜けだそうと思ったのが25歳の時。 そんな思いが重なったせいかもしれません。 もうあれから随分経つけれど、あの時の自分に今 ひとつ言えるのは、間違ってないぜってことくらい。 人生の時間を二度、なぞることは誰にもできない。 だから、今の時間を違う状態で歩むことは不可能。 だからこそ、その時に判断したことに価値があると思う。 今の自分はもうあの時(という名の過去)の自分ではないのだ。 そして、あの時があるから今があるとも言える。 人生なにがあるかわからない。 わかっている…

軽井沢美術館

施工中にも何度か訪れた西沢氏の軽井沢の美術館。前回エントリーはこちら。 つい先日、待望の一般開放。 早速、体感して参りました。当然、内部の写真は無し。撮影不可です。 チラホラ、デジカメ撮ってる人が居ますが くれぐれも運営側に迷惑かけないようにしてもらいたいです。 学生らしき人が、立入禁止区域に勝手に入って注意されていました。 さて、これは体感しないと分からない建築。 素人が写真とっても、絶対にこの空気感は写りません。 視覚的な衝撃よりも、まさしく体感する建築。 さらに、外観は外部の植栽に隠れてしまって、全貌が分からない。 千住氏の作品も良いんだけれど、やっぱり建築に圧倒された。 作品のための空間として、ホワイトキューブは発明されたけれど キューブじゃないホワイトをここまで昇華させるのは、やっぱり凄い。 内部からメッシュによって視線を遮っていたが、これはあまり感心しなかった。 美術館というビルディングタイプには、必ずつきまとうジレンマなんだろうけど。 それでも、ここで意図されているのは、起伏に富んだ床と屋根だけが浮いている空間。 そのためには外部との境界も希薄な方が望ましい。 展示作家の希望なのかもしれないけれど・・・。 なんだかんだ言ってますが、心が揺さぶられる建築は とっても刺激的…

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Steve Jobs

  Photo:Gracias Steve. by Lore & Guille Apple社の共同創設者であるSteve Jobs氏が亡くなってしまった。 仕事のツールとしてAppleを使い出したけれど あっという間にその魅力に引きこまれて。 気がついたらデバイスもソフトもApple仕様。 ビジネスシーンで使いこなそうとすれば 自ずとハードルが上がるので、周囲に冷ややかな目で 見られながら、無理やりエミュレーターでwin用ソフトを ゴリゴリ使いながら図面作成したことも・・・。 あの頃からみれば、cpuがインテルになるなんて想像もしなかった。 この先、Appleがどうなるかは分からない。 でも、もうjobsのプレゼンテーションは 見ることがないことだけが揺るぎない事実。 僕の中で尊敬する人はたくさんいるけれど その中でも、かなり上位にjobsはいる。 でもjobsのことはAppleを通してしか知らない。 もしも、Appleのモノたちがjobsの生き様のessenceが 散りばめられているのなら、そういうものにずっと 触れてこられたことは、僕にとっては誇らしいことだ。 そして、残された人たち(Apple社だけでなく)がしなければいけないことは そういう先人たちの生き様の…

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一瞬のなかの継続

現場に出向くことの意味。 工事の監理が主たる目的であることは、言うまでもありません。 しかし、それだけで済んでしまうほど単純でもありません。 人は、同じ物を見ても同じ認識をしているとは限りません。 不思議なもので、その時に考えている情報にしか脳は反応しません。 つまり、何も考えないで見ていれば、何も反応しません。 例えば、好きのモノとか、人とかが、どんなに雑多な情報に埋もれていても 見つけることが出来るのは、そういうことだと僕は思います。 建築を感じる時間は、時として一定に流れるものではないと思います。 見つかるまでにとても時間がかかったり、すぐに理解できるけれど 時間が経つと鬱陶しいものに変化してしまったり。 上の写真は現場の中で、ふと気がついて撮ったもの。 粒子化された空間。 意図はしてないけれど、こうするとこうなるのか。 みたいな一瞬。。。 でも、その一方で、この状態自体に美しさがあるとも感じた。 それは、見えない秩序というか意図しない秩序。 見せるためではないのに生まれてしまった秩序。 そこに醸し出される雰囲気。 現場にいることの意味は、きっとそういう断片を 見つけに行くため。…

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市民会館

長野市の市民会館の建て替えの設計者が選定されたようです。 公開コンペになるのを期待していたのですが、プロポーザル方式の 指名コンペが行われました。 結果は、槇事務所です。 上の写真は福井県立図書館(設計:槇事務所) 二次に残った中でなら、案はわかりませんが槇さんか佐藤さんか。 実は、佐藤さんと協働していたのがSI-houseの構造家なので 二次の選にもれたと聞いたので、結果を知りました。 地元では、建て替えでもめていた・・・ということを話したら 「それならば、大御所の槇さんで・・・という思惑もあったりして・・・」 と冗談半分で語っておりました。 北川原委員長!その辺どうなんですかー!なんて。 私は、槇さんの建築はとても好きなので、単純に楽しみです。 実際に関わることができないのが、長野在住の設計家として 不甲斐ない思いもありますが、指名のお呼びがかからない時点で 修行がまだまだ足りないです。 しかし、近所に良い建築(または良くなりそうな建築)が建つのは やはり嬉しい事です。 これを契機に長野市が活性化されることを願います。 単なる箱物で終わらないように、市民の活用方法も 考えていくべきだと思います。 建築を愛することは、街を愛することに等しいと思います。 そういう意味で愛すべき建築が…

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めも_20110915

  Photo:atelier bow-wow, four boxes gallery, krabbesholm højskole, skive, denmark 2009 by seier+seier 批評や論評をするということは、設計をする上ではあまり必要の無いことかもしれない。 批評や論評をする前に、まずはやってみるということ。 やってみると、その本質がどうなのかを身を持って体感することができる。 それがいかに重要で壮大な行為であるかということを。 しかし、その結果を自分自身で批評、論評する姿勢は必要なことかもしれない。 世の中の出来事を、明瞭にとらえて整理し、説得するために構築されたものは 一見すると、とてもスマートで現代的な手法であるかもしれない。 けれど、合理的で能率的であるがゆえに、そのプロセスに至る様々なことを 切り捨て、手間をどんどん省いていくことになる。 何かを考え、産み出そうとするならば、考えれば考えるほどわからなくなるのは 正常なことであるということを、ある文を目にしてから知った。 能率的な行為から程遠いこの作業は、一般的なビジネス思考からは 異常に見えるので、自分でも余計に迷うことになる。 本質というのは、極めて抽象的であると思うのだが、その抽象を…

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お国柄

いつもお世話になっている家具屋さんの社長は、とてもアツい方です。 毎年、ドイツでは木工金物や器械展を行っているらしいのですが そこに毎回、足を運んで参加をしているそうです。 そして、いつも素敵なおみやげを届けていただいております。 今年は、有名な金物メーカーのブルム社の最新カタログと、テクスチャを特集した本です。 こういうところにセンスが垣間見れますね。 ブルムのカタログは、かなり凝った作りをしています。 詳しくは紹介しませんが、なかなか面白いです。 しかも、そこに掲載される写真が秀逸です。 金物メーカーにそこまでされると・・・黙っちゃいられねー的な気持ちになります。 我が国のメーカーのカタログを見て触発されることは、ほとんどないのが残念です。 日本のカタログは、やたらと文字の説明と機能的な話が多い。 裏を返せばデザインは競争力や価値を持たないと言われているようです。 消費者のニーズを汲み取るのがメーカーだとすれば、国民が求めていないということか。 前述の家具屋さんの話によると、木工機器でも、ドイツ製は機能と耐久性が充実し イタリア製は外観が美しいそうです。車の世界では一般的に語られることですが まさか木工機械までも・・・。 たしかにマニアックな工具にしても、ドイツ製はドイツっぽいつ…

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シンクロニシティ

   Photo:cdcovers/the police/synchronicity.jpg by exquisitur たまたま見たTV(アンビリバボー)で同姓同名の女性で違うのはセカンドネームのみ 誕生日も一緒で父親の誕生日も一緒。 おまけに子供の誕生日も一緒で離婚理由も一緒。という奇妙な他人の話があった。 アメリカ人で、国民は社会保障番号をもっているが、それが当局のミスで同じ番号を振り当てられたのが 発覚のキッカケだったのだが、その後、互いに親しくなり、あまりの共通点の多さに驚いていたという。 実は、今かかえているプロジェクトの二つは、これに近いものがあります。 前述の女性ほどではないのですが・・・。 個人情報なので詳しく書きませんが、名前や家族構成がとっても似ています。 年齢は異なりますが、子供の名前が似てたり。 依頼の時期は、ズレているのに何故かステージの進むペースが一緒。 僕の方は、時期的にずれていたほうが楽なので出来るだけ、調整しながらやっているつもりなのに 同じペースで進んでいます。 建築家の友人に話を聞くと、複数のプロジェクトを抱えると往々にしてそうなりやすいらしいので ただの気のせいかもしれませんが・・・。 心理学の世界にも、ユングが提唱している「シンク…