Category Archives: 建築行脚

TNデザイン一級建築設計事務所

21美術館

春の陽気に誘われて、金沢まで来てしまいました。 天気も良くてドライブ日和。 遅ればせながらETCデビューしたkarmann-ghiaで高速を巡航中に、20000マイル到達。 金沢まで250kmぐらいで約3時間で到着。 往復500km over 一日でこれだけの距離を連続運転したのは初めてだったので、少し不安でしたがなんなくクリア。 相変わらず、人が大勢いて賑やかなのが印象的。 建築は使われることで、さらに風合いが増すのは、良い建築の条件。 人の力と建築の力が融合することが、とても美しいものに変化していく。 建築がその存在だけで成り立つのなら、それはオブジェと化す。 オブジェのような建築という表現は、建築としては不本意。 反オブジェクトと言っていたのは隈研吾さんだけど、オブジェクト=オブジェだって使い切って手垢だらけにしてやれば、それはもう反オブジェクトなんて超越しちゃって、アートの殿堂になっちゃうと思うんだけど。 今回は、今年の目玉のイベント前で、小さな個展と常設展しか中たけれど、そこにあるアート達はとっても気さくな感じで、佇んでいました。 前回は冬に来て今回は春。 今度は夏の芝が青々している頃にまた来ようと思います。…

長野のデザイン住宅設計事務所

とらや

前回紹介した「建築のちから」はとても評判の良い本らしく南洋堂では前年の第二位の売り上げだったそうです。 その中でも紹介されていました「とらや工房」ですが 実は去年の夏に訪れておりました。 内藤さんの建築なのか半信半疑になるほどにデザイン臭さが消されています。 でも、そこで語りかけているものは内藤さんそのものでしたし、感じたその思いが 著書で語られている文章からも感じられて二度、感動しました。 そこで語られているのは建築というよりも、周囲の林や竹林、池などのランドスケープが 主役でした。 そして建築は控えめに人の身を寄せる為の場を与えてくれるもの。 そうした謙虚さは学ぶべきものが多くあると、その当時も感じました。 私が目指す建築の理想と違うかもしれませんが、そこにある正しさは納得できるものが 多くあります。 建築は奥が深い。 アプローチの門。ここから竹林をさらに歩く事になる。 まさに世俗との境界。天国と地獄を分つ門。 庭との関係。真夏の良い季節だったので、とても気持ちがよかった。 こういう空間は住宅にも絶対に必要だと思うが、受け入れられる事は少ない。 日本人はかつては「家は夏を旨とすべし。冬はいかなるところにも住まる。」 と言われていたのに、いつのまにか「冬を旨とすべし。」に変わってし…

TNデザイン一級建築設計事務所

まちとしょテラソ

もう既に2週間程前になりますが、小布施町図書館に行ってきました。 ここは自宅から割と近いところにありますのでいつでも行けます。 須坂市と小布施町は隣り合っていますので、本も借りられます。 設計は古谷誠章/スタジオナスカ。 最初に模型を見たときは、あまり興味はありませんでした。 施工中の裏話もいくつか聞いていたので、違う興味があったのですが。 夏に完成していたのも知らずにいたのですが、雑誌に掲載されていたのをきっかけに近場ということもありいざ。 私の感想は、素直に良かったです。 良さのレベルはそこそこですが、これが小布施町という小さな町の施設であるということを考えるとかなりの力作だと思いました。 特徴的な屋根とワンルームと言葉で言うと簡単ですが、やはり設計者の力量を感じます。 蔵書の少なさ(特に建築系)は町の規模からいって仕方がないのでしょうが、私にとってはそれさえクリアしてもらえれば、 間違いなく第二の事務所となりそうなくらい気持ちのいい空間です。< 建築は気持ちのいい空間があればその目的のほとんどをクリアできると思います。 その気持ちの良さをどのレベルにするかが難しいのですが。 小布施はイイ建築があって羨ましいですね。 エントランス…

kazuhiro_kojima

ギャラ間で開催されている「小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt展」に行きました。 こちらは、GAよりも僕的に面白かった。 小嶋さんの「白と黒」理論に興味を持つようになってから、小嶋さんの作品はいつも興味深く感じていたのですが 今回のはかなり期待出来るんではないでしょうか。 詳しくはサイトのレポートの方が的確ですので、そちらを見て頂くとして。 2階にある作品群はこれからの建築のあり方を示しているような非常に興味深いものでした。 もはや建築家は形を作ることが出来ないのではないかと思わせるほど、壮大な計画だと思いました。…

TNデザイン一級建築設計事務所

foa

ガードボード・アーキテクチャつながりということで、横浜港大さん橋国際客船ターミナル。 山下公園で散歩のついでに寄りました。 海の上の公園という感じが何度訪れてもイイですね。 ただこの日は残暑厳しい季節の快晴だったので、午前中だったのですが暑かった。 それでもこの気持ちの良さは他ではなかなか感じられないものです。 コンペ時はカードボードのような軽快さがウリだったようですが、建築としてはむしろ重厚な感じがします。 それほどにこの構造を成立させることは難易度が高いということなのでしょう。 予算の問題など様々な困難があったと思いますが、こういう建築に触れられるのは日本の建築技術の力強さを感じます。 でも、この建築の素晴らしさは構造では決してなくこの純粋な『気持ちよさ』なのだと僕は思います。 技術者として構造が気になるのはもちろんですが、大切なのは誰しもが感じられる『気持ちよさ』です。 それがなければ、アクロバティックな構造も特殊な素材も必要ないと思います。 なんのための建築なのか。 それは機能を満たすだけの物体ではなく、『気持ちよさ』を感じるため。…

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F・ゲーリー

Photo:Guggenheim Bilbao by aherrero ビルバオ・グッゲンハイム美術館 ヴィトラで初めてゲーリーを見たのですが、その建築は多少グニャグニャしてましたけど何となく建築の殻に収まっている感じがしていました。でもこの『ビルバオ』になるともう突き抜けてます。既に観光名所となっていますがそれほどに魅力的な建築だと思います。 今は大きな建築がほとんどだけれど、今住宅をつくったらどんな建築をつくるのかとても興味があります。 そしてそれが例えば低予算であったなら・・・なんて。 世界の巨匠がそんな依頼を受けるとは思えませんが。 やっぱりグニャグニャでいくんだろうな。むしろそうであってほしい。 どんなに小さくても。 ゲーリー事務所出身の若手建築家はやっぱりグニャグニャなんでしょうか。 そして、それは受継がれていくのでしょうか。 この先の展開がすごく気になる今日この頃。 そう言えば、ゲーリーのドキュメンタリー映画が6月に公開されたみたいですね。 最近まで知らなかった。是非見てみたい。…

TNデザイン一級建築設計事務所

ANDO

書類整理していたらスケッチのスキャンデータがあったのでエントリーです。 スイスのバーゼルにある「ヴィトラセミナーハウス」 1999年の4月になっているので、もう8年以上前になりますがフランスを中心に建築旅行に行った時のスケッチ。 ヴィトラ(Vitra)は有名な家具メーカーですが、現代建築のパビリオンが工場内にあることでも有名。 この建築の反対側にはゲーリーの作品もあります。 バーゼルの中心から少し離れたところだったと思いますが、周辺環境がとても良い所でした。 建築が建築たるべくあるにはどういうことだろうということを考えさせられました。 建築には必ず機能がありますが、ここの建築達は既に当初の建築の機能を超えて存在しています。 「セミナーハウス」となってますが、セミナーはほとんど行われていない様子でした。 つまり使用感がないというか・・・。 僕が行った時はたまたまだったのかもしれませんが。それが少し残念。 しかし、この中庭空間とゲーリーの建築との対比は見事だと思います。 安藤さんの一番得意なスケールという感じ。…

TNデザイン一級建築設計事務所

シアトル公共図書館

Photo:Seattle Library by Theodore Scott オランダつながりでOMA率いるレム・コールハースの作品。 もうこれは圧倒的です。 最初にこれを雑誌で見たときには衝撃でした。 レムは続々と巨大プロジェクトを完成させていますけれども、その中でもこれは良いと思います。 シアトルに行った際は是非立ち寄りたい! そんな予定ないですけど・・・(泣) こういう構成を大きな建築でやるのは力技というかとにかく圧倒されます。 青山のプラダもある意味同じように見えますけど、なんか小さい分よく言えば繊細ですけど。 このシルエットは迫力です。 なんか抽象的な言葉しかでない・・・。まぁ現地見てないんでこんな感じ。…

TNデザイン一級建築設計事務所

スタッドシアター

Photo:IMGP1617 by epredator これは、僕にとって現地に行くのがとても困難だろうけど見てみたい建築。 設計はSANAA。ようやく完成したようです。 プロジェクトが発表されたのは約十年前の1998年ですが、ここで考えられたことが現在のSANAAのプロジェクトにどう影響しているかを考えると非常に興味深い。 十年という時間は人間のスパンで考えると長いかもしれないが、建築にとってはそうではない。 それだけ思考の射程を長く持っていないといけないということ。 施工段階では、日本のプロジェクトのように全てに決定権があったわけではないそうだが、そのバランスがとても良く見える。 全体の均質感や透明感は実際に現地で歩き回ってみないと感じられるか分からないが、とても魅力的に見える。 SANAAの作品は透明性というテーマがあると思うが、その透明性は単にガラスが入っているから透明という訳ではない。 西沢氏が多様性の世界と語っているが、いろいろな人間の活動と風景が混ざり合っていく透明感らしい。 この作品ではそれが達成出来たと西沢氏は思っていないらしいが、その一端が見られるのなら是非行ってみたい。 あーオランダ行きたい! 画像は設計時のSANAAのスケッチ…

TNデザイン一級建築設計事務所

国立新美術館

by Photo:THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO (国立新美術館 Kokuritsu Shinbijutsukan) Michael Francis McCarthy 今や国民的知名度が最も高い建築家でもある黒川氏の設計。 この建築、僕はあまり好きではありません。 造形的にというわけではないのですが、ファサードの構成が好きではないです。 そういえばこれも日建設計とのコラボですね。 六本木はこんなのばっかりなんでしょうか。 やっぱり組織の力って凄いということでしょうか。 黒川さんこのファサードのスケッチ書いて終わりだったりして・・・。 時間なかったので、内部は見てません。 どうもこの大味な感じのデザインが・・・というか・・・。 この美術館は設計段階では「ナショナルギャラリー」と呼ばれていたが正式には そうならなかった。それは、海外から来る観光客がロンドンやワシントンの「ナショナルギャラリー」と同じような美術館だと勘違いされたら困るかららしい。 つまり、そこに「ナショナルギャラリー」と呼べるだけの理念がないということ。 さらに、美術界にもいろいろ日本的な閉塞感があるらしく、その類いの批判もあるらしい。 運営面からみると、美術館に来館する人の多くは中高年の女性…

東京ミッドタウン

1ヶ月ほど前に東京へ行ったときに寄りました。 ほんのさらっとですが・・・。 安藤建築の21_21DESIGN SIGHT これって日建設計とのコラボだったんですね。 コラボなんだけど日建設計の影がほとんど見えない感じ。 さすがですね サントリー美術館も隈さんと日建設計だと思いますが こちらは何となくうまくハンドリングしてる感じ。 美術館はまたの機会という事で入り口を素通り。 でもファサードはやはり秀逸。 ルーバーはいろんな人が使ってるし僕も使おうと思えば使えるのだけれど これだけのモノを見せられると安易には使えないと思ってしまう。 よく言われるのは「予算があるからでしょ」という意見。 隈さんはすでに巨匠の域でしょうから当然と言えば当然。 確かにコストは重要。コストによって解決する問題はたくさんあります。 しかし、本当に重要なのはどんなにお金があっても辿り着けない部分があるという事です。 一般的に建築には値札がついていませんから、実際にどの位のコストがかかっているか良くわかりません。 建築は一品生産なので比較すること自体が難しいのです。 そして特別な事をしようとすればコストが掛かるのは当然です。 良いモノをつくろうと思えば思うほど、コストは膨らむ方へ傾きます。 良いモノだから当然ですね…

横須賀美術館

横浜からちょっと足をのばして横須賀へ 海沿いの峠道を走りながら、鼻歌を歌っていると 突然山側のひらけた空間に気がつくと、山本理顕さんの設計した『横須賀美術館』に驚く。 緩やかな斜面の上に海を見下ろすように建っているそれは、美しいと思った。 『はこだて』の時は街を見下ろすように建っていたが、それを思わせるランドスケープ。 どちらも箱形だがこちらの方が繊細だ。 もっと鉄板に穿たれた「孔」がたくさんあるかと思っていたが、案外少ない。 しかし、それは内部に入った時点で思い違いだった事に気がつく。 孔から海があまり見えないという批判があるそうだが、それは僕には気にならなかった。 むしろ、限定されている孔から海上を走る船が見えたときにはっとする美しさを感じた。 思った以上に多くの船が行き交うので、簡単にその場面に出くわす事ができる。 孔の数を多くすれば、外観上は派手かもしれないが、それはあくまでも「外観上」という話。 孔を内側から眺めたときにどちらがいいかと考えたら、この選択は間違っているとは言えない。 眺望がいい場所に建てる建築はこの部分がとても難しいと思う。 いい眺望をたくさん取り入れたくなるのは誰しもが思う事だが、ではガラス張りで全て見通せる事が出来れば良いのかというとそうでもない。 ゲー…