Category Archives: 2017

すみだ北斎美術館

総武線に乗っている時に、もう既に日も暮れて真っ暗なはずなのに異様なオーラを放つ建築物があった。 わずかに照明の光が漏れていて、独特の形態を映し出す。 そのうちに電車が動き出し、すぐに頭の建築インデックスが作動するのに気がつく。 『すみだ』ってこんな所にあるのか・・・・。 自分の建築センサーもなかなかやるなと自画自賛して、読みかけの「首折り男のための協奏曲」を再び読み始めた。 こんなに近くなら、すぐに行けると思い直して、明日の予定に無理やり組み込む。 次の日の天気は、予想以上に晴れていた。 建築を見る上で天気の影響は多大だ。良くも悪くも印象が変わってしまう。 でも『すみだ』はきっと雨だとしてもその佇まいは美しいものになることは容易に想像できる。 妹島事務所や西沢事務所は膨大なスタディを重ねることは建築界では有名な話だが、どんなにスタディを重ねていても、そこから選び出される案はたった一つで、それが妹島作品であり西沢作品になる。 西沢さんはもう10年以上自分で案を出さないらしい。 それが何を意味するかは、ここでは書かないが、妹島さんはもっと前からそうだろう。 ちなみにジャン・ヌーヴェルはスケッチすら書かないらしい。 スタッフへの指示は全て言葉でするそうだ。 建築家の仕事とはそういうものだ。…

鉄骨検査

T-houseの鉄骨検査に安曇野へ。 もう何度も鉄骨検査をしているけれど、未だに建築パーツを事前に確認するワクワク感は変わらない。 もちろん、事前に製作図を確認して、その通りの実物が目の前にあるだけの話なのですが。 でも、これが自分のイメージする空間を支える構造体なのだと考えると、楽しくなるのです。 鉄骨部材は規格品であり、ある程度決まった形です。 それを、適材適所で設計をして部材を使い分け、時にはカットして形を変えて骨組みを作る。 部材同士は溶接で接合されているので、それが規定の強度を持っているか、変形はないか パーツとしての形状がきちんとできているか、など様々な項目をチェックします。 それでも、建築現場に完璧はありません。 致命的なトラブルが発生する可能性はゼロではありません。 構造躯体の強度が低下するようなミスは、あまり起こりませんが意匠上のトラブルはよく起こります。 それは、デザインの意図というのを施工者(特に職人レベル)で理解することは非常に難しいということです。 だからこそ、建築家は現場を見て、細かい指示をしながらそれを作品として昇華させるべく腐心するのです。 現場監督はスムーズに進めるために、現場を管理し、我々もそれに協力をします。 ただ、僕が現場を見て考えているのは、…