Category Archives: 2010

TNデザイン一級建築設計事務所

洗練

  Photo:Petits détails de la nature by Marc Lagneau 先日ある住宅を見たときの事。 ・・・がむき出しの家。 しかし、その暴力的な見出しに相反するように、優しい雰囲気の住宅だった。 確かに素材が見えている。 その意味ではむき出しと言えるかもしれない。 しかし、その素材が醸し出す雰囲気は、「むき出し」というには優しすぎる佇まいであった。 なるほど、住宅であればこうしたくなる。 以前、伊東豊雄さんが語っていた抽象に対する姿勢を思い出す。 抽象の先を超えていきたいとも語っていた。 極度の洗練は、物質間の消失と存在意義を希薄にしてしまう。 素材感は、素材らしさであり、あるべき姿でもある。 住宅という機能を考えるとその素材感は邪魔な存在かもしれない。 でも、それを調停するのなら、そもそもなぜその素材が必要なのか。 「むき出し」にすることの意味はなんなのか。 洗練が悪いことだとは思わない。 しかし、存在感が消えるほど洗ってしまって 人工的な香料の香りを後付するはめになるのなら 洗わないで投げ出すほうが自然に抽象化されるのかもしれない。…

TNデザイン一級建築設計事務所

建築の存在

建築が他のデザインされたものと異なる事。 それは、人間よりも巨大であるということ。 さらに、人間が中に入って活動するということ。 F・O・ゲーリーは現代美術の人でしたが、いまや建築界の巨匠です。 そのゲーリーによれば、建築と彫刻の違いは「窓があること」。 つまり中に人が入るということである。 東京はとてつもない量の人工物で覆われているために外部でさえも内部のように見えてくる。 つまり、全てインテリアの世界。 インテリアだから、模様替えもしたくなるので、建て替えしたくなる。 それが、カオスと呼ばれる東京たる所以だと思う。 東京にいた方が多分仕事はたくさん有るだろう。そういう模様替えが頻発するから。 でも、建築はインテリアとは違う役割を持っていると私は思う。 建築には外観(ここでいう外観はインテリアの反対語としてというよりも外部の佇まいという意味)があって、街並みがあって環境になる。 そして、壊されないで残っていく事が重要だと思う。 現代は建築デザインでさえも消費してしまうほど、情報が溢れている。 しかし、人間が中に入るという性質上、建築は物質からは逃れられない。 その物質性が建築の唯一の武器でもあり、弱点でもある。 CGが真新しかったころ、この物質性が建築をスポイルしているという議論が…

長野のデザイン住宅設計事務所

錯乱

レム・コールハースの「錯乱のニューヨーク」。 金がなかったので、ハードカバーの方でなく文庫タイプの安い方。 事務所を設立するかしないかの頃、必死になって読破した。 もう十年くらい前。 その当時から既に世界の最前線で戦っていた。 「Y2K」なんかは大きな影響を受けた気がする。 あの頃は、なぜニューヨークなのかよくわからなかった。 その研究と現在の中国でのビッグネスなプロジェクトの関係とか。 今、もう一度再考しようと思う。 中国と言えば、上海万博中国館のデザイン問題とかが報道されている。 中国館のデザインに対して、報道や一般の人の認識が既に間違っている。 似ていると言われる作品が既に違っている。 違う情報を鵜呑みにして、正確な議論は出来ないのに、そういう指摘もないままに盗作したという事だけが一人歩きしている。 あぁまたかみたいな感じ。 万博の施設デザインだけで語るのならば、あの日本館のデザインは何とかならなかったのか。 最初に見たときは、テーマパークのパビリオンかと思った。 安藤さんの「光明寺」は中国館とあまり似ていない。 セビリアの日本館に至っては、言いがかりにしか聞こえない。 これが盗作なら、P・ジョンソンはミースに謝らなければならない。…

長野のデザイン住宅設計事務所

baloon!

佐久市で毎年開催されている、熱気球のイベント。 知り合いが近くに住んでいるので、家族でお邪魔しました。 こんなイベントがあることも最近知ったのですが、天気が良くて最高でした。 そして、初めて気球にも乗りました。 例年だと、長い行列を並んでも風の影響で早い時間で乗れなくなることが多いらしいのすが 今年は昼ごろまで乗せてくれたので、最後尾でしたがギリギリで乗りました。 思った以上にカゴの中は狭くて、バーナーの排気が熱い! 中から見る気球は、万華鏡のようです。 これは一緒に飛んでた隣の気球。 バルえもん(ドラえもん型)とタコさんもあったのですが、風によって早々と撤収。 こちらも乗る寸前で風が強くなり、もうダメ宣言がありつつもなんとか搭乗。 上昇はなんのショックもなくフワっとあがる。夢中で写真をとってたら、思った以上に高いことに気がついて少し怖くなった。子どもたちは余裕の表情で「もっと上がらないの?」などと言っていました。 この他にも、バイクのトライアルショーがあったり、椅子作りの体験コーナーがあったり楽しいイベントでした。…

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momo

桃の花が咲きました。別に特別なことではないかもしれない。 僕を除いて。 娘が4年くらい前に事務所の庭の脇に種を植えた。 植えたというより捨てたに近い。 その種は桃を食べた後の種だったから。 僕は植えたことすら忘れてしまったけれど、娘は真剣だったよう。 そして、いつの間にか大きな桃の木に育っていた。 毎日見ているはずなのに、気がつかないでいた。 春になるとキレイな花を咲かせる。去年は実をつけた。 人間は動物だから、日々変化をしているはずなのに日常という社会生活に埋もれて気がつかない。 この木は、花を咲かせる為に知らない間に成長を続けて今は立派な木になっている。 現代の社会はスピードを要求される。 何か行動を起こして、なんのリアクションもなければそれは意味のないことと認識される。 だからとても即物的で刹那的。 「ブータン人は生まれ変わりを信じている。」(アヒルと鴨のコインロッカーより) 植物は動物ではないけれど、僕が生まれ変わるなら、こんなきれいな花を咲かせる木になりたい。…

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安曇野

もう何度も訪れている『安曇野ちひろ美術館』。 静かな造形が周囲の風景におさまっている。 僕が設計しても恐らく切妻屋根は採用しないと思うけれども、この意匠以外には考えられないと思わせる意思が感じられる。 建築は視覚芸術であると同時に安心感を与えるシェルターでもある。 安心感と緊張感が同居する建築は、そう簡単には実現出来ない。 この空間には、それに匹敵する空間があるように思う。 消費されない建築は、あらゆる環境から強度をもって佇んでいなければならない。 デザインの強度は、流行とは違う場合が多いものだから一瞬で理解出来るものではないかもしれない。 時間と空気を取り込んで、強度はより強化される。 そこで初めて、その存在に気づく。 とてもさりげなく、とても穏やかに。…

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maintenance

a-houseのメンテナンスの件で、久しぶりに訪問しました。 外観は初めての公表です。 玄関が唯一手を加えたところですが、その先に広がる空間を予見するかのようにミニマルに収めています。 これはOpen House時の写真ですが、今もほとんど変わらずにとても美しく住まわれておりました。 時間の関係で撮影できなかったのですが、暮らしぶりを見ていると住まい手の知性が溢れています。 写真集が完成しましたので、それもプレゼントしました。 とても喜んで頂きました。当事務所websiteでも作品紹介しています。…

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ENERGY!

  Photo:Rad Shelter – 004 by break.things 最近のエネルギーに対する感覚に疑問を感じることが多いです。 最新のニュースでは、ビル・ゲイツが原子力関連の技術に資本提携をすると報じられていました。 あのビル・ゲイツですから、利益が見込める事業(だと思われる)なのは想像出来ます。 日本がその原発を今も作り続けているので、技術が集約されると想像することは出来ますが、それがはたして世界の最先端技術と誇りを持って言えるのでしょうか。 日本以外の先進国は、もう原発を作っていません。 その現実を日本国民は認識しているのでしょうか。 私はこのサイトを見て怖くなりました。 『原発がどんなものか知ってほしい』 情報が多いということは、逆に情報に惑わされるということです。 有益な情報というものは、立場によって変化します。 原発関連の隠蔽体質は、たぶん永遠に改善されない気がします。 電気が無くなっては困るかもしれないけれど、膨大な被爆者を生みながら使う電力は やっぱり恐ろしいと思います。 さらに、原子力エネルギーというのは放射性物質を含むゴミを大量に出します。 発電所内はホコリすら放射線を発するので、クリーンルームのように集塵しなければ そのホコリ…

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21美術館

春の陽気に誘われて、金沢まで来てしまいました。 天気も良くてドライブ日和。 遅ればせながらETCデビューしたkarmann-ghiaで高速を巡航中に、20000マイル到達。 金沢まで250kmぐらいで約3時間で到着。 往復500km over 一日でこれだけの距離を連続運転したのは初めてだったので、少し不安でしたがなんなくクリア。 相変わらず、人が大勢いて賑やかなのが印象的。 建築は使われることで、さらに風合いが増すのは、良い建築の条件。 人の力と建築の力が融合することが、とても美しいものに変化していく。 建築がその存在だけで成り立つのなら、それはオブジェと化す。 オブジェのような建築という表現は、建築としては不本意。 反オブジェクトと言っていたのは隈研吾さんだけど、オブジェクト=オブジェだって使い切って手垢だらけにしてやれば、それはもう反オブジェクトなんて超越しちゃって、アートの殿堂になっちゃうと思うんだけど。 今回は、今年の目玉のイベント前で、小さな個展と常設展しか中たけれど、そこにあるアート達はとっても気さくな感じで、佇んでいました。 前回は冬に来て今回は春。 今度は夏の芝が青々している頃にまた来ようと思います。…

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The Pritzker Architecture Prize

今年はSANAAが受賞しました。ニュースでも報じられていたのでビックリしました。 アメリカ人によって設立された賞だが、受賞した建築家の国籍で日本はアメリカに次いで第二位で今回の受賞でイギリスと並びました。 オリンピックではないですが、こう見ると日本は建築先進国だと言えると思います。 ただ、気になるのは世界に認められることと、日本で認められることに若干のギャップを感じること。 ニュースで取り上げられたが、さほど時間を割いていたようには思えないようだったし。 建築家に対する評価や地位がもう少し認められてもいいように思うのは私だけなのか。 北野武が映画賞を受賞した事よりも、よっぽど偉大なことだと思うのだけれど。 このブログでも何度かSANAA建築は取り上げましたが、プリツカー賞までとるとは思いませんでした。 凄いことです。 Congratulations!…

TNデザイン一級建築設計事務所

ポイント

久々に車が不動車になりました。 その場で脱出することが出来ずに、泣く泣く牽引しました。(二度目です) 今回のトラブルは、後にすぐに解明出来ましたが、現場で理解できなかったことが自分ではとてもショックでした。 やはり現場の経験は大事です。 今回の原因は、写真の部品はデスビの中にあるポイントという部品です。 これはなんの部品かというと点火系でプラグに電気を送るタイミングをとって電気の入り切りをするモノです。 この部品のヒールという爪が折れています。 現代車は既にこのシステムは電子化されて、タイミングをとっています。 旧車用のポイントレスキットも販売されていますが、このポイントのほうがシステムが簡単なので壊れても直しやすいし、 不具合をチェックしやすいという利点があります。 電子化されると壊れたら、交換以外に方法はありません。 しかし、このポイントは千数百円で買えますが、キットは1万円以上しますので予備を積むほど余裕はありません。 このポイントはもう3年くらい使用しているので交換時期が過ぎていたのだと思われます。 しかも直前に高速道路を走行したため、負担が大きかったのでしょう。 ポッキリ折れています。 でも、適正な交換をしていれば避けられました。 ちなみに交換はとても簡単です。 そして、現…