新国立美術館の10周年記念企画の安藤忠雄展に行きました。
ミッドタウンも10周年だそうで、2009年のグッドデザイン賞の表彰式もこちらだったことを思い出しました。
さて、この安藤展はとても楽しみにしていたので、他に開催されているイベントもあって少し強行でしたが六本木へ。
天気が良かったせいもあって、テンションMAXで突入。
開館とほぼ同時だったと思いますが、思った以上の人気でした。
チケット買うのも、少々並んでました・・・。
会場では、住宅のブースがとても混んでいるのが印象的でした。
何度も見た住宅ですが、時系列で見るとまた違った様相にも見えました。
一般的には、一番身近な建築が住宅であり、建築図面を見るのも初めての人が何を基準に建築を見るかと言えば
自分の住まいだと思います。図面よりも模型に人が群がるのも、模型がわかりやすいからだろうし、住宅ならば、
想像しやすいからだと思います。
ただ、そこで気をつけなければならないのは、スケール感。
会場にある模型もスケールはそれぞれが同じではないので、それが理解できないといけない。
安藤建築は、驚くほど小さい作品も存在するから。
面白かったのは、近年の小美術館並の豪邸のところになると、急に人がいなくなる(笑)
その意味では、光の教会の原寸を再現したモックアップはとても良くできていると思います。
建築を理解するには、体験することが大切。安藤さんの情熱が伝わります。
どんなことでも全力です。
ただし、あれが本物だと思ったら大間違い。
やっぱり建築は、プロポーションだけでは語れないのを再確認してしまいました。
現在の安藤さんの仕事の中で住宅は一部であって、その大部分は奥に広がる
美術館であったり、公共施設であったり、植樹の活動であったり。
驚くほどの仕事量を、とてつもないクオリティで成し遂げているのがわかります。
そして、その歩みを見て思うのは、建築家の人生にはゴールは無いということ。
私が事務所を始めた頃、国際コンペで当時のスーパースター建築家を押しのけ「フォートワース美術館」 を獲得したときは
東大の教授に就任した直後だったし「フォートワース」を創れば巨匠の仲間入りをして、きっと人生のゴールをするのだろうと
勝手に思っていました。
ところが、安藤さんは全く歩みを止めることなく、さらなる進化を遂げている。
それは、東大の教授になることや、世間から巨匠と呼ばれること、建築学会賞や文化勲章、プリツカー賞を獲得すること
つまり、自分が何者かであることを世間に知らしめる事が目的で建築を創造しているわけでは無いということだ。
ただ純粋により良い建築を作ることが人生の目的であり、それを続けることに意味がある。
光の中を歩くことにとらわれてしまえば本質を見失うこともある。
そんな、安藤忠雄流の生き様が、僕を魅了する・・・。
「人生に”光”を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という”影”をしっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んで行くことだ。」
「人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。
その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う。」
建築家 安藤忠雄/安藤忠雄著より