長野のデザイン住宅設計事務所

大悲殿観音堂

年末に必ず訪れている須坂市にある「妙徳山 高顕寺」。

今年は雪が沢山積もっていました。
このお堂が完成したのは2006年ですのでもう4年になります。
かつてのお堂はこの背後の丘の上にありました。
その当時は登り口が分かりづらく存在もあまり知られていないようでした。現在は須坂市を見下ろすように建てられているので、正面の通りから
ちらちらと見えるような位置にあります。この計画は配置が全てのようなものでしたので、正面がどこに向くかはとても重要です。
北向き観音でもあるので、真北に合わせているのですが斜面との関係や本堂との関係上
微妙に調整しています。外部の檜は雨風にさらされて、徐々にグレーになってきました。
出来た当初のきれいな状態はもちろん良いのですが
徐々に風化していくことは、時間を感じ取る手がかりとして
重要な事だと思います。
どんな物質でも同じ状態を保つという事は本来難しいことです。「万物は流転する」とはヘラクレイトスの言葉であるが、時の流れを止める事はできない。
そして物質は流転するが、情報は流転しない。
(この点でヘラクレイトスの言葉が万物に含まれないことに矛盾があるように思えるが)
建築にとって「情報」とは人間が生み出す意思という[image]だと僕は思う。いずれ全てがグレーになってしまうことで、僕の込めた「情報」が
時間を生き抜いた佇まいを表現できたら良いと思います。