建築行脚の記録-5
ota museum 設計は小島一浩/C+A。
外観を眺めただけだが、非常に楽しそうな建築だ。
プライベートな美術館という事だが、是非空間体験をしてみたい。
特に2階の屋内のような外部空間は魅力的だ。
技術的な観点で見ると、外部の防水仕様やキャンティの構造形式など、不安になる要素を持っているが、それだけにダイナミックな構成が美しい。
客間に乳白フィルムが貼られていたので、3階の浮遊感が弱められていたのが残念。
いつも思うのだが、事務所に戻って建築雑誌を読み返してみると最初の印象と随分違う事に気づく。大抵、建築雑誌を見てその建築に対して第一印象を持つのだが、実際に現地に訪れると同じ印象にはなかなかならない。これは、人間に会うのと同じで写真だけでは判断できない。
何となくその立ち振る舞いと言うか、佇み方と言うかそういうものによって感じ方というのは全く違うモノになるのだろう。
さらに、良いモノは何度訪れても新しい発見がある。
その発見自体は、単純で何でもない事のように見えるかも知れないし、実際に対した事でないこともあるが、それに気がつく事が重要だ。
時間は万物に平等に与えられているし、同じものはない。
そこで、共有された時間は特有のものだから、次に訪れたときのモノとは別のものだと思う。
だから、新しい建築を見るのも良いが、以前見た建築を見るのも興味深い。
理論的には、どんどん見たい建築が増えていく(笑)。
しかし、それも縁がないとなかなか見られないのは、人の出会いと同じだとつくづく思います。