今回の旅の締めくくりは、内藤さんの大作「島根県芸術文化センター”グラントワ”」。
珍しい双子台風の直撃を受けた大雨の中、半ば強引に向いました。
こんな日に訪れる人は、さすがに少ないらしく人もまばら。
というかスタッフの方が多い。
そんな中、インフォメーションで「アンケートですが、来館の理由をお聞かせ下さい」
と言われ、「この素晴らしい建築を見に長野から来ました」と答えた。
「ホールは見ることできますか?」と訊ねると、「予約がないと案内は出来ないんです・・・。」
まぁ当然の対応ですので、あっさり諦めまして、美術館に入館。
ひと通り堪能したところ、お茶でもしようかなと思ってウロウロしていたところ
スタッフの方に、「館内の案内を希望された方ですか?」と聞かれ、とっさに「違います!」と言いましたが
どうやら、アンケートしたスタッフの方が気を利かせて確認してくれたらしく
予約は無いけど、案内しましょうということになりました。
そして、なんとなく”偉い人オーラ”を発する方が登場。その方はなんと、副館長。
これは、大雨の奇跡!と感謝しながら、大ホール、中ホール、小ホールと楽屋までほぼ全ての部屋を案内して頂きました。
設計上の小さなミスというか、教訓といいますか、気をつけるべき盲点なんかも教えて頂きました。
副館長は、前職が校長先生ということで学生になった気分でお話を聞いていました。
島根県は、この建物と前回のエントリーの「出雲歴史博物館」の両方で、約300億円の血税で、文化施設を整備したそうです。
それでも、そういう資金できっちり整備していく姿勢は、素晴らしいと思いました。
お金を掛けるというよりも、文化を守ろうとする姿勢といいますか・・・。
守るためにはそれなりの費用が必要なのは当然ですが、どういう建築で守るのかも重要です。
そういう意思に対して、内藤さんや槇さんは対峙しているのだなぁと思うと、それはそれは並大抵の重圧ではないことは容易に想像できます。
100年超の射程距離をもつ思考がなければ、押しつぶされそうです。
そういう意味では、この重厚感はその思考の重みに対抗しているようです。
良い建築だなぁ。