住宅を含めて、建築をつくることはとてもお金がかかることです。
ましてや、デザインの優れた住宅が欲しいと思ったらいくら掛かるか分からないと思う方が多いと思います。
実際、私の事務所を訪れるクライアントの方々は、多かれ少なかれコストの問題にぶつかった経験をした方がほとんどです。
それでも、設計事務所を訪ねて来る方というのは、やはりデザインの価値を知っているからこそだと思います。
私の手がけた住宅は、総じて高額に見えるとよく言われますが、実はどの住宅も一般的な住宅の価格と変わらないものがほとんどです。
しかし、それは様々な紆余曲折を経て辿り着いた結果であり、毎回同じように成功するとは限りません。
一つ言えるのは、デザインとコストは純粋な比例関係ではないということです。
大きなくくりでは、お金をかければ可能なことが増えるのは、当然なことですが、お金をかけても辿り着けない領域が必ずあります。
そこに、到達するのが建築家としての本領だと私は思います。ただ、この行為自体が非常に時間のかかることで、まさにマンパワーが必要になります。
つまり、ビジネスとしては効率的ではないこととして切り捨てられる部分です。だから、建築設計に効率を求める事務所であれば、そこにはあまり労力を掛けません。
また、工務店にもそれなりの技術が必要になるので、厳選されるので見積すら断られることもあります。
でも、そんな姿勢をクライアントに共感していただければ、必ず想像以上の付加価値を提供することが可能です。
そこに共感がなければ、私の努力も無駄になってしまいます。
ただただ、安くやってくれという依頼も中にはあります。そんな仕事には、全く意味を感じません。
建築をコストを含めて価値をコントロール出来るのは建築家だけだと思います。
そして、それは私の個人事務所であるからこそ可能なのです。
写真はオリジナルデザインのダイニングテーブルです。
画像では分かりづらいですが、スチールの黒皮と呼ばれる素材で製作しました。
独特の素材感を持っています。
価格は巷のデザインもののテーブルに比べれば、約半分位の金額で提供することが出来ました。
ちなみにこの写真の中で、黒い部分は全てスチールの黒皮製になっています。
椅子はFritz Hansen製のSEVEN CHAIRです。