もう何度も訪れている『安曇野ちひろ美術館』。
静かな造形が周囲の風景におさまっている。
僕が設計しても恐らく切妻屋根は採用しないと思うけれども、この意匠以外には考えられないと思わせる意思が感じられる。
建築は視覚芸術であると同時に安心感を与えるシェルターでもある。
安心感と緊張感が同居する建築は、そう簡単には実現出来ない。
この空間には、それに匹敵する空間があるように思う。
消費されない建築は、あらゆる環境から強度をもって佇んでいなければならない。
デザインの強度は、流行とは違う場合が多いものだから一瞬で理解出来るものではないかもしれない。
時間と空気を取り込んで、強度はより強化される。
そこで初めて、その存在に気づく。
とてもさりげなく、とても穏やかに。