長野のデザイン住宅設計事務所

記憶

もう11年前になってしまったが、ヨーロッパへ建築行脚に行った時の写真。このあと大変な目にあったのだが、この花の美しさに感動した感覚は今でも覚えている。

最近、脳に関する本を読んでいます。脳科学の世界では、アルツハイマー病の研究が盛んで治療薬やその病気のシステムの解明が急がれていいますが、決定的な事はまだ分からないみたいです。さらに治療薬もあるみたいですが、万能ではないようです。
なぜ脳に興味を持ったかと言うと、建築に限らず環境を認知してその世界を認識しているのは、脳だからです。特に視覚に関しては、かなりの情報を得ています。
でも、目が良いからといってそれが情報量に差があるかと言えばそれは疑わしい。
建築家の巨匠の中でも、目が悪かったりする人はたくさんいますし、音楽の世界でもベートーベンは耳が聞こえない時期もありました。
脳は必要な、あるいは必要だと感じている情報しか取り出さない。
同じ場所に行って同じものを見ても、全ての人が同じ情報を共有している訳ではない。
その人が見たいと思っているものしか見えない。
つまり、脳がその環境を作っているということだ。
それは、視覚を担う目の機能にも表れているのだが、網膜には色を感知する細胞がほとんど中心にしか存在しない。さらに盲点という存在もあって、見えない範囲が必ず存在する。
しかし、僕たちは何不自由なくモノを見ることが出来るし、花の色を見て感動することができる。
真ん中しか色がついていない花畑を見たことがない。
それは、脳が勝手に補正しているからだそうです。
周辺に色が違うモノがあっても見えづらいのは、実際には色が見えていない。
それほどに脳は僕たちの世界をある意味都合よく構築している。
映画「マトリックス」の世界は、仮想現実というより脳の世界そのものがバーチャルである事を示唆しているかもしれない。
ただ、電脳空間と根本的に違うことは脳は体とつながっているということである。
脳は体のパーツと密接な関係にあるので、パーツそれ自体を機能させるだけならばこんな大きな脳は必要ない。
手や足が何百本あってもそれぞれをコントロールするだけの能力がある。(らしい)
つまり、能力を使いきってはいない。
イルカの脳は人間よりもシワの数が多くて賢いといわれているが、実はそれは真実ではないそうだ。
人間のように言語を持たないし、その脳の能力を使いきっている訳ではないことがわかっている。
それだけ脳は過剰に進化した状態なのだそうだが、逆を言えば、体を使って脳をいろいろな方法で活性化させてやると思いもよらない能力を発揮することもあるということだ。
そして、その脳は個人個人の持ち物であり、自分でカスタマイズ可能であること。
これはなかなか面白いことなんじゃないかと思う今日この頃。